ピーター・ワッツ原作による現代ハードSF小説の映像化、ダニル・クリヴォルチコ監督短編作品『ブラインドサイト(Blindsight)』。
現代ハードSF小説の最高到達点『ブラインドサイト』
カナダ(アルバータ州カルガリー出身)のSF作家であり海洋哺乳類の生物学者であるピーター・ワッツ(Peter Watts)。彼の日本での著者初刊行書籍となる長編作品『ブラインドサイト』(Blindsight)は、2014年に星雲賞海外長編部門を受賞し、早川書房の発行する『SFが読みたい! 2014年版』で「ベストSF2013 海外篇」第2位に選ばれている。 またフランス・ロシアなど6ヶ国でも7つの賞を受賞している。
以下にピーター・ワッツによる星雲賞受賞コメントを取り上げておく。
ちなみにぼくはまだ本作品を読んだことがないのであるが、Google ブックス(Google Books)によれば以下のようにある。
突如地球を包囲した65536個の流星の正体は、異星からの探査機だった。調査のため出発した宇宙船に乗り組むのは、吸血鬼、四重人格の言語学者、感覚器官を機械化した生物学者、平和主義者の軍人、そして脳の半分を失った男。彼らは人類の最終局面を目撃する―。ヒューゴー賞・キャンベル記念賞・ローカス賞など5賞の候補となった、現代ハードSFの鬼才が放つ黙示録的傑作!
太陽系外縁で巨大構造物と遭遇した宇宙船テーセウス。放射線が渦巻く苛酷な環境の中、クルーたちはエイリアンとの接触を試みるが、彼らは人類とはまったく異質な進化を遂げた存在だった。構造物内に侵入したクルーたちは、戦慄の真実に到達する。「意識」の価値とは?進化の次のステージとは?衝撃の展開を見せる、現代ハードSFの最高到達点。
ダニル・クリヴォルチコ監督による『ブラインドサイト』の映像化
そしてこの『ブラインドサイト』を、ニューヨークを拠点に活動するアート・ディレクターでありVFXアーティストのダニル・クリヴォルチコ(Danil Krivoruchko)が監督を担い、様々なアーティストたちとのコラボレーションを交えて、短編作品として映像化している。
タイトルは原題と同じく『ブラインドサイト』。
This news from @somebadideas about Blindsight screenplay really jogged my memory. All those hours, days, months, and years spent on creating visuals. Ups and downs. Weariness and relief.
— Danil Krivoruchko (@myshli_com) April 20, 2021
It became such a big part of my life https://t.co/kfxNrR5nvI pic.twitter.com/EulY6IVEAV
では、本作品のティザー映像、および本編映像を取り上げておきたい。
この『ブラインドサイト』映像化プロジェクトに関しての原作者ピーター・ワッツによるインタビュー動画も公開されているので、そちらも取り上げておこう。
インタビューの中でピーター・ワッツが触れている作品中に登場する宇宙探査機の架空の軌道の話。
この映像化プロジェクトでは、IAU(International Astronomical Union)データベース、いわゆる国際天文学連合のデータベースから太陽系のすべてのオブジェクトのデータを取得し、物語の舞台となる2082年における宇宙探査機の軌道を予測して、それをヴィジュアルに落とし込んでいるというような話をしているが、おそらく以下の動画に関することであろう。
そして、この『ブラインドサイト』映像化プロジェクトのコンセプトサイト、「 https://blindsight.space/ 」では、本映像作品制作過程における様々な"メモリー"を閲覧することが出来る。非常に興味深いので、ぜひご覧頂きたい。
というわけで、原作をすでに読んだ人も、ぼくと同じくまだ原作に触れていない人も、『ブラインドサイト』の高等なファンアートとも呼べる本作品を、ぜひ鑑賞していただきたいということで、最後に再び本編を取り上げておこう。
めっちゃ原作読みたくなった。