狒々門の奥の入江のむじな島にて。

大猿の如きものを連れた天人らしきものを見たあの日から、ぼくはずっとここにいます。

日記

届かない手紙と、夢と現実と、狂おしいくらい黒いジャムのような闇の日記。

前略。 略すこともないのだけれど、前置きにするような言葉も見当たらないから。 そして、きみがこの手紙を読むことはおそらくないと思うから。 東京できみに「さようなら」と言ってから、たぶんもう10年くらい経つんじゃなかったっけ。もちろんぼくは色んな…

長く鋭い爪で引き裂かれた彼女の右顔と、凶悪な殺虫兵器サボタージュ日記。

2021年4月にはじめた、このぼくのウェブログ『狒々門の奥の入江のむじな島にて。』であるが、約5ヶ月経過した今、圧倒的に記事を書くのをサボっている。 4、5、6月は月に約10記事ほど書いていたが、7月に至っては1記事のみ、そして8月に入り、これがやっと2…

砂浜で虐待を受けている小瘡魚と、海の底にある龍宮の主たる瘡魚王謁見日記。

海のすぐ近くに移り住んでから十ヶ月が経とうとしている。 移住を決めるまで、まさか自分が海の近くで暮らすことになるとは思ってもみなかったが、もし海の近くに住んだらやってみたいことがあった。 海で魚を釣ってきて、捌いて、毎日の晩酌のツマミにする…

ディアトロフたちはウェンディゴに出会い、一句残して消え去った日記。

ずいぶん昔、とある俳句の会に所属していて、毎週5句とか6句とか俳句を書いていた。 提出した句は、会員すべての人の持ち点により採点され選句が行われて、その週の大賞作品みたいなものが選ばれた。 確か一度だけ大賞をとった記憶があるが、それがどんな句…

聞けウィリアム・シェイクスピアよ、それでもぼくはそうめんを後悔するぞ日記。

昨日、大量にいただいたビワを果実酒にするために、街まで往復30キロ歩いて果実酒用の瓶とホワイトリカーと氷砂糖を買いに出かける。 【兵庫県淡路島産】無農薬 うまいびわ 枇杷 大きさお任せ 化粧箱入 1箱 約1kg 808青果店 Amazon 東洋佐々木ガラス 果実酒…

梅雨時期のムカデ退治は、藤原秀郷もやる気が出んわ日記。

ぼくがこの僻地に移住してきた理由は、とある求人に採用されたからだった。 まず最初に言っておこう。 その求人元がとんでもないブラックで、とんだクソ野郎で、研修という名目で一ヶ月間、ほとんど休みも給料も無いまま過酷な労働をさせられた挙げ句に、「…

ゼブラ柄のレディーから頂いた半分皮のむけたバナナは、少しやる気のない味がした日記。

昨日は予定外に早朝から近所の人の用事の電話で起こされ目を覚まし、その30分後にまた別の近所の知り合いから大ぶりのアジを二匹と真鯛と、なんだか既成品のチャーシューの凍ったやつを頂き、魚たちは昨日捕れたやつだそうで、けれどまだ何の下処理もしてい…

ビーフィータージンと、遙かなる薄桃色をしたオールナイトあるいはミラージ徹夜日記。

最後に徹夜をしたのは、たぶんちょうど一年くらい前だと記憶している。 その頃勤めていた会社の仕事で、通常業務に加えてぼくはプロモーション系の映像制作をしていたのだけれど、様々な業務が折り重なって依頼され、しかもそういうことをまともにスケジュー…

生肉と大剣とスコッチを携えて、大猿コロナと戦うロリコンハイランダー日記。

おうち時間、いろんなことをしているけれど、おうちじゃない時間として、きょうも往復30キロ歩いて、買い物に行ってきた。 ぼくの住む地域は、パンデミックとはほとんど無縁の隔絶された僻地にあるため、そして人もほとんどいないため、感染の危機なんてもの…

陰謀的に消去される妹の名前と運転技術、それは初歩的なことだよ、ワトソンくん日記。

今朝、目が覚める前に、つまり朝起きる前までに、長い夢をみていた。 眠っている間に見る夢のほとんどは、基本的にはその内容をすっかり忘れてしまう。いや、すっかり忘れてしまうことのない場合もあるけれど。ほぼ完全に覚えていることもあれば、半分くらい…